介護職に転職すると言っても、その勤務場所は、老人ホームといった居住施設やデイサービスのような通所施設などの介護施設だけではありません。要介護者の自宅を訪れて介護を行う訪問介護という介護サービスもあります。訪問介護サービスでは、利用者の自宅を掃除して衣類を洗濯する生活援助を行うほか、食事を作って食べさせたり、排泄や移動の介助をしたりします。老人ホームなど利用者が居住する職場では、夜勤があるため介護職は交代制で勤務しなければなりません。これに対して、デイサービスや訪問介護の場合、夜勤がないので原則として定時に退勤できます。
訪問介護は、予め訪問先が決まっており、1日に何軒か訪問したら、その後は事業所に戻って、サービス提供記録の記入などデスクワークを行うことになります。例外的に夜間の訪問介護を受注することもありますが、ほとんどの勤務は日中に限られ、肉体的負担も少ないでしょう。緊急に訪問介護を依頼されることがあっても、その機会は滅多にないと言えます。また、介護の仕事で入浴の介助が介護職の大きな負担となりますが、訪問介護サービスでは原則として身体の不自由な利用者の入浴介助を行いません。というのも、訪問介護とは別に、訪問入浴サービスという介護事業があるからです。訪問入浴サービスには、介護職だけでなく、看護師も同行を義務付けられています。介護職だけが訪問先で入浴の介助を行うことは認められていません。このように、比較的負担の少ない訪問介護は、体力に自信がなくても介護職を目指す人におすすめと言えるでしょう。